バラード平成 〈お陰さまで〉
久しぶりに北海道に帰ることにしました。
神戸空港18時40分発ANA405便、新千歳空港行き ・ ・ ・
席に着いて直ぐにハードカバーのページを開いた。
小林由香氏の「ジャッジメント」 ・ ・ ・
「アハハハッ
・それでねェ、あたしさぁ、
・言ってやったんだぁ~ ・ ・ ・
・そんなこと言って恥ずかしくないのって」
先ほどから通路を挟んで通路側に座っている二十歳代のオンナが
隣の男に話し掛けているのだが、男は手にした雑誌に心を
奪われているらしく、空ろな返事を繰り返している。
それでも、おんなは余程男に気があるらしく
飛び立ってからも話を止めようとしないのだ。
機内放送とおり、昨日からの低気圧の所為でほとんどベルト
点灯サインが消えない。
いくら行間のドラマに集中しようとしても、小刻みな揺れと
オンナの声で気が散るのでヘッドホンを耳にした。
曲を聴くためではない。
ジャックは差し込まないつもりでいたのだが、
オンナの高音の声が気になって仕方がないので
音を拾うことにした。
いつもはバラードジャズ ・ ・ ・
それもトリオに限るのだが、あいにくとプログラムにはない。
クラシックに合わせたのだが、これが此の曲との出遭いと
なったのだった。
カール・オルフ『カルミナ・ブラーナ』より
「運命、世界の王妃よ」~第1部「春に」
あのわずらわしいオンナが居なければ
きっとこの曲には遭遇しなかったであろうになどと考えると
人生とはつくづく解らないものだな。
マイナス要因はこの世には多いけれども
其のマイナス要因を何とかしてプラスに
換えてしまえばいいってことかなどと
おおげさなことまで考えてしまった。
ベルリン放送合唱団の声音が小生を
励ましてくれているように感じた。
おお、あのうるさいそなたは
姿を変えた王妃であったか ・ ・ ・
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