バラード平成 〈一枚の写真〉
・・・・・・・・・・・・・・・・・注:写真は本文とは関係ありません
山形県の名水百選の郷、月山山麓湧水群を訪れた後酒田市へ
立ち寄りました。
ここまで来たのだからと、尊敬する土門拳氏の記念館へ行こうと
考えたのですが、時間の都合がつかずに断念しました。
残念でした。
しかし、空港に着くとなんと閑散とした三階フロアで土門氏の
ミニギャラリーが開催されているではありませんか。
記念館に収蔵されている作品は7万点とのことだが
此処に展示されているのは8点。
でも、8点で良かった。
そ
の一点一点が本物の持つ怒りのような力を放出していて
独特の空間を創っていた。
3時間、読経のように引き込まれてしまった。
「近藤勇と鞍馬天狗」と題された作品は
その限られた台紙から子どもたちが飛び出してくる。
それは一枚の写真であって、終わりのない動画 ・ ・ ・
子どもたちの邪気のない嬌声がフロアにこだまする。
画面の奥で羨ましそうに見つめる子どもたちは既に
斬られてしまったのだろうか?
彼らに主役の座が巡ってくるのはいつになるのかな?
「母のない姉妹」と題された作品の中に居る少女の眼差しを
どう受け止めたならよいのだろう。
哀しみ・ ・ ・淋しさ・ ・ ・不安・ ・ ・
この歳で知ってしまった人生の虚しさと絶望・ ・ ・
この子はいま何処で、何歳の日々を送っているのだろう。
この子に幸せが訪れていて欲しい。
一枚の写真
其処に、心がある。
歴史がある。
思想がある。
そして祈りがあった。
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