バラード平成 〈灯籠流し〉
函館湯の川温泉街を流れる松倉川下流にて催された
灯籠流しに参加してきました。
先祖の供養にと、当時は二人とも存命だった父と母の名前を書いて
流しました。
数百基の灯籠が、川の流れのままに海へ向かっている姿は
それは幻想的なものでした。
囲った紙の中に一本の蝋燭を灯して流すだけのことなのだが
悲しみが伴った涙が突き上げてくるのは何故なのだろう。
この先の闇の向こう側には三途の川にも続いていて
その向こう側に彼の岸が在る。
時間が止まっているように感ずるのは
もちろん気の所為だろう。
中には灯りが消えて移動しているもの
殆どが水没して溶けかかっているもの
中洲に取り残されたもの等を観ると
現世で繰り広げられているそれぞれの人生と何ら変わらない。
「くっついて流れてるよ」と、傍らの少女が指を指す。
指差す方を観ると、いたる所で二つ三つと寄り添うように
海に向かっている。
「何処かで縁のあった人たちなんじゃないかな。
ここに居る人たちの中にも、縁のある人が沢山いるのと同じだよ」
そんなことを心の中で呟いた。
自分自身の達観したような台詞に驚いてしまったが
結局のところ
私には何も解ってはいない。
あの世とは本当に在るのだろうか?
亡くなった方々に、また再び逢うことが出来るのだろうか?
輪廻転生って本当のこと?
何度写真を巧く写そうとトライしても、焦点が合わない。
それは酔いで震える掌の所為なのか
涙でファインダーがボケているからか
それとも
ひょっとしてこれこそが代々引き継がれた
夢幻なる神聖な儀式の所以なのかは
私には解らない。
コメント